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日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

TEL.045-383-1231

〒221-0866 横浜市神奈川区羽沢南2-44-5メディカルプラザ2階

皮膚の病気Skin Disease

よくある皮膚のトラブルシューティング(院長の独り言)

蕁麻疹が治らない?

そもそも蕁麻疹というものについての誤解がとても多いのです。以下の項目は全て間違いです。
・蕁麻疹の原因で一番多いのは食べ物である。
・血液検査をすれば原因がわかることが多い。
・症状が繰り返すならば今よりも強い薬を塗るべきである。
本当は蕁麻疹なのに汗をかいたときにとても痒くなるのでアセモだと思っている人、明らかに蕁麻疹の症状で病院に通っているのに医師から蕁麻疹と言われていない人、病院から正しい内服薬をもらっているのに飲み方が間違っているので治りにくい人、などのケースが実は多いのです。蕁麻疹とは、その患者さんが敏感に反応する因子があるのです。食物が原因として決して多いわけではなく、食物以外には風邪などの感染症で病原体が体に入ってくることや、温熱や冷感、発汗などの皮膚の表面的刺激がきっかけとなったり、精神的な緊張などによっても皮膚に痒い反応が起きるのです。皮膚とは関係ない病気で飲んでいる薬や、健康食品、サプリメントを常用している人はそれらの影響にも注意が必要です。疲労やストレス、胃腸の不調も蕁麻疹の悪化因子になります。血液検査をしても原因がわからない蕁麻疹が実際にはとても多いのです。治療で重要なことは、その人にとっての悪化因子を考慮しつつ、適切な内服薬を適切に使用することが重要です。塗り薬は一時的には痒みが改善することがあっても、塗り薬だけで新たな痒みが生じることを防ぐことはできないのです

たかが水虫されど水虫

皮膚科では水虫の患者さんが少なくありません。なにしろ日本人の五人に一人は水虫があるのです。しかし、自分は水虫だと思って来院する患者さんの中には本当は水虫ではないことも結構多いのです。市販の水虫薬をあれこれ試したが症状が悪くなるばかりという方もあります。初めは少しかゆい程度だったものが、薬を塗れば塗るほど悪化したという患者さんも珍しくはありません。市販の水虫薬でうまく治らないことには理由が考えられます。市販薬の箱には成分が表示されているのでよく見ていただくとわかりますが、菌を抑える成分以外に何種類もの成分が入っています。ほぼ必ず入っているのが局所麻酔薬で、そのほか爽快な感覚になる成分などが入っています。つまり、水虫菌は全く死んでいないのに麻酔薬の効果で痒みがなくなり、スーっとする成分で効いたような気分にさせようとしているのです。いろいろな成分が入っていることが良いとは言えず、これらの不必要な成分でかぶれを起こすことがよくあるのです。それでも使い続けていると、弱った皮膚にバイ菌が感染してジュクジュクしてきます。こうして痛くて歩けないようになってからようやく病院に来る人もあるのです。専門医の常識として、水虫菌を殺すには正しい成分を数ヶ月塗り続ける必要があります。何かを1週間塗ったら治ったとか、温泉や海水浴に行ったら治ったということはまず考えられないことなのです。もしそうであれば水虫ではなかったという可能性が高いのです。

化粧水は必需品?顔には刷り込んだほうが良い?

顔の皮膚のトラブルで皮膚科を受診する女性はとても多いのです。多くの女性が化粧水その他のいろいろなものを習慣的に顔につけています。高価なものであればあるほど良いと思っている人もあります。何年も同じものを使っているのに最近始まった顔の痒みと赤みが止まらないという人もよく来院します。本人が問題ないと思って塗っているものが刺激になっていることが実際は少なくありません。何らかの原因で顔の皮膚にトラブルが起きてしまった場合、皮膚が正常な時には問題がない化粧水が、弱った皮膚に対しては刺激になっていることが少なくないのです。このような時にいきなり別の化粧水に変えても良くならないことが多いのです。また、顔の皮膚に何かを塗る場合、力を入れて擦り込むということは良いことではありません。皮膚の上からいくら力を入れて擦り込んでも、薬が皮膚の中にたくさん入っていくわけではなく、力をいれることによって、かえって皮膚炎をひどくしてしまいます。塗るものの選択と塗り方が大きなポイントになります。高価なものを使えば良いのではありません。化粧水を過信してはいけないのです。

金属アレルギーはありませんか?

皮膚科に通院して治療をしているのにどうしても痒みが止まらないという患者さんもあります。我々専門医は、一般的な治療で痒みが治まらない場合には様々な原因を推測します。なかでも、イヤリングやネックレス、時計の金属バンドで痒くなった経験のある人は要注意です。金属アレルギーは金属の触れた部分に症状が出ればわかりやすいのですが、全身の頑固な痒み、金属に触れていないはずの手足の皮膚の強いかゆみなどが、金属の関与で生じることもあるのです。なぜなら、食品や嗜好品には金属を多く含むものがいろいろあるのです。まず第一にタバコです。治療していても強い痒みのある人がヘビースモーカーであるならば、まずタバコを減らすことを提案します。女性であればチョコレートが好きですか?とかナッツや豆類は好きですか?と聞きます。チョコや豆類には比較的金属成分が多く含まれています。それ以外に盲点なのは飲料です。どんな飲み物でも、一般的に濃い飲み物には金属成分が多く含まれます。〇〇茶、××茶などいかにも健康に良さそうなお茶が、金属アレルギーがある人の痒みの原因であることもあるのです。

すり傷は密閉すると良い?

皮膚の傷に密閉療法が良いかどうかは傷の状況によります。密閉療法が適する場合はありますが、例えば、子供の膝の擦り傷で、密閉したことで細菌感染が悪化することは実はよくあるのです。その反対に乾かしたほうが良いと思って毎晩ドライヤーで傷口を乾かしていたという患者さんもありましたが、これもお勧めできません。傷の状態、菌の感染状況などから治し方を考える必要があります。

とびひが治らない?

子供のとびひが治らないという患者さんが時々あります。このような患者さんでは、何が治りを悪くしているのかを考えなくてはいけません。とびひは菌が関与しているはずだからといって、抗菌薬をいろいろ使っているにも関わらず治りが悪いという患者さんもしばしばあります。このような場合はとびひの患部から目をそらして、顔腕脚など全体を観察します。とびひが治りにくい患者さんによくある原因は、患部に限らずあちこちに痒みがあり、無意識でいろいろなところを掻いていることが多いのです。このような場合は菌のコントロールと痒みのコントロールを同時に行う必要があるのです。

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・皮膚科医のビタミン処方
・皮膚病が治りにくい理由じんま疹編
・皮膚病が治りにくい理由水虫編
・皮膚病が治りにくい理由ニキビ編


医療法人泰明会
杉田皮フ科クリニック
Sugita Dermatology Clinic

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